ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.5 ~ちゃんこと神宮司

ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.4 ~賽は投げられた からの続き
 

ちゃんこ編集長

2015年4月、それまでインターンとして働いていたみはるんとちゃんこが新卒入社した。みはるんは器用なタイプでわりとそつなくこなす。ちゃんこはどちらかというと不器用で、でもBASE愛は強かった。
 
G-SQUAREに移転した頃、鶴岡さんがちゃんこに重要な任務を与えた。インターンから新卒入社後もカスタマーサポート業務を担っていたちゃんこだが、立ち上げたばかりのショッピングメディア『BASE Mag.』の編集長のポストに大抜擢されたのだ。この大抜擢に、ちゃんこも最初は張り切ってたけど、徐々に数値目標のプレッシャーが重くのしかかってきてるように見受けられた。


僕もその頃はめちゃめちゃBASEオフィスに通って、あの手この手でちゃんこの目標達成のために手を講じた(じゅんぽから「べるおさん、めっちゃコミットしてる〜」と言われたのも、この頃)。
 
その時の目標はわかりやすく「PV」だったんだけど、月末最終日は皆んなで『BASE Mag.』の記事をシェアしたり、ツイートしたりして、夜23時50分頃に目標達成した。その「PV」が意味があるのか?と問われたら、おそらく意味は薄いだろう。しかし「目標は達成するもの」という癖付けのためにも何とか達成させたかった。最初っから未達成だと「目標はいかなくてもしょうがない」という悪癖がついてしまいそうで怖かったから。
 
何とか目標達成した翌月、さらに上がった目標数値に完全にギブアップ気味のちゃんこ。3日目あたりで「もう今月達成無理です」と言い始めた。温厚で知られる僕ですが、MTGで少し言葉を荒らげてしまった(少しだよ)。そんな時でも鶴岡さんは「もうちょっと頑張ってみようよ、応援するから」と優しく言った。「この人はどこまで忍耐強いんだ…」と思った。結局しばらくしてちゃんこは編集長の任務を降り、再びカスタマーサポートの部門に戻っていった。笑顔がトレードマークのちゃんこだが、この頃は笑顔でいる時間が少なくなっていたように思える。『BASE Mag.』はみはるんと神宮司が引き継いだ。
 

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MTG始まるよー

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神宮司

少し時間の針を戻して、新大宗ビルにやってきた頃、2014年の初夏くらいの話。
 
鶴岡さん「神宮司は?」
内山さん「今日も役所立ち寄りで遅くなるらしいです」
鶴岡さん「そんなに役所行くことってある?笑」
 
そんな会話がなされていたくらい、神宮司はいつも午前中いなかった。「神宮司は社員契約なの?」と鶴岡さんに聞いたところ、「いや、あいつが”バイト契約がいい”って言うから社員じゃないですよ」と答えた。Wantedlyに掲載されている神宮司の言葉を引用してみる。

僕、その当時は全然会社に行ってなかったんですよね。夕方に来て22時くらいに帰る、みたいなことをしていました。当時は変に尖っていて、時給だから給料が減るのも自己責任だし、夜中に自分一人でコード書いてればプロダクトが作れるって思っちゃってたんですよね。

こんな感じなので僕の印象としても最初は正直「こいつダメなやつだなー」と思ってた笑
鶴岡さんの親心からか、何とかちゃんとした大人にさせてあげようと思ったのか、神宮司にとあるプロジェクトを任せ、朝イチで進捗MTGをすることになった。ただ、MTG設定しただけだと来なそうので、朝ごはん(内山さんが美味しそうなパンを買ってきた)を用意して神宮司を何とかMTGに来させようと鶴岡さんは工夫していた。「そこまでするかー笑」とびっくりしたが、鶴岡さんの努力が実ってか、神宮司は徐々に頭角をあらわしていった。
 
再び2015年夏に時間の針を戻す。『BASE Mag.』を引き継いだ神宮司だが、「朝イチのMTG」の頃と比べると、見違えるように成長していた。バイト契約から正社員になり、朝もちゃんと来るようになっていた。鶴岡さんの「神宮司やってよ」という振りに対して、全く文句も言わず、進んでその任務についていった。当時『BASE Mag.』も苦戦してて、言うなれば「火中の栗」みたいな状況。そういうタスクに対しても全力で立ち向かっていった。汚れ役やめんどくさそうなタスクも無茶振りも、鶴岡さんの「神宮司やって」と振られれば、立ち向かっていった。

 

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B社の若手

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(疲労困憊の神宮司とちゃんこ)
 
鶴岡さんと神宮司。二人はBASE創業前のシェアハウス時代からの仲間だ。二人の信頼関係はそんじょそこらのものとは違う。いつしか神宮司は「BASEに絶対欠かせない」存在になっていった。組織上の信頼関係もあるし、何より二人は「インターネットが大好き」という共通点があり、同じ目線でインターネットの楽しさを語れる唯一の存在なのかもしれない。
 
「こいつダメなやつだなー」と最初は思ってた僕ではあるが、ある日、太河さんから「最近BASEどうですかー」と言われた際に「神宮司が凄く良い。もし僕が起業したとして、BASEから一人引き抜いて良いってなったら迷わず神宮司を選ぶ」と答えるくらい、評価は急上昇していた。こんなに頑張れるやつだとは思わなかった。変化してから気づく僕のダメさ…。一方、神宮司の才能を信じて、開花を地道に待ち続けた鶴岡さんの凄さよ…。
 
 
 
【ピッチサイドから見たBASEの5年半】
Vol.1 家入さん達がまた何か始めた
vol.2 罫線も数字も無い棒グラフ
vol.3 金髪監査役
vol.4 賽は投げられた
vol.5 ちゃんこと神宮司
vol.6 歪みと混沌の闇
vol.7 創業の地への凱旋
vol.8 上場、そして物語は第2章へ

2019/11/07 

ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.5 ~ちゃんこと神宮司