ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.2 ~罫線も数字も無い棒グラフ


ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.1 ~家入さん達がまた何か始めた からの続き
 

罫線も数字も無い棒グラフ

退職エントリー」の反響が予想以上に大きく、多くの方にお声がけいただいた。年明けの有休消化中に多くの方々とお話させていただき、結論として松山太河さん率いるEast Venturesで働かせてもらうことに決めた
 
正式加入発表の直前にEVオフィスを訪問した際、太河さんが「このあとBASE役員会なんですけど、同席されますか?」と声をかけてくれたので、参加することにした。どこで開催されるのかな?と思ったら、ミッドタウンのカフェに連れていかれた。「カフェでやるんだ」と少し驚いた。
 
カフェのソファ席には鶴岡さん、家入さん、そして家入さんの秘書の内山さんが座っていた。「内山さんは家入さんの秘書をやっていて、最近はEVとBASEのバックオフィスも手伝ってもらってるんです。内山さんが家入さんの秘書になられて、家入さんと連絡取りやすくなりました。ハッハッハッ」と内山さんを僕に紹介した。
 
続いて太河さんは家入さんに僕を紹介した。一応面識があるので(家入さんが覚えてるかは微妙だが)、「ご無沙汰してます」と言うと、家入さんは「え、サムライ辞めたんだー」と。その程度の会話だったが、ちゃんと会話したのは9年ぶりかもしれない。
 
 
何はともあれ役員会が始まり、配られた資料を見ると、棒グラフが描いてあったが、罫線もなければ数字もなかった。「伸びてます!」という鶴岡さんの元気良い発表を皆が「おー」って聞いていた。とても牧歌的で印象深い光景として今でも記憶に残っている。ちなみに「罫線も数字も無い棒グラフ」はこの後数ヶ月しばらく続く。
 
 

太河さん「BASEをちょっと見てあげてもらえますか?」

2014年3月3日、EV六本木オフィスに「初出社」した。EVスタッフが使っている六本木ビル303号室に入ると、内山さんから大量の名刺を渡された。「これ配りきるのに数年かかるぞ…」という量だった(数ヶ月で配りきった)。そこに内山さんに用があった鶴岡さんが入ってきたので、名刺を渡した。


その後、太河さんと「これからどうするか」を少し話したが、太河さんから「とりあえずBASEをちょっと見てあげてもらえますか?」と依頼された。その旨を鶴岡さんに言うと「ぜひぜひお願いします!この後ちょうどマーケチームの定例あるのでお願いします!」となり、MTGに参加することとなった。
 
MTGはBASEのいる301号室にあるちょっとしたMTGスペースでおこなわれた。301号室のBASEエリアを改めて見てみると、2つの机に3人座って作業してるし、いろんなものが散乱してるし、相変わらずなかなかの部室感だった。MTGスペースの机の下の床はボコボコしてて、小さな机に大きな鶴岡さんとビックボ、そして金城さんと僕が向かいあった。
 
ショップオーナーさんの獲得はクチコミが多いとのことだったが、他チャネルからの獲得もした方がいいのではないかと思い、広告代理店やASPにヒアリングに行ったりした。さらにSEO用のランディングページを作成して、自分のサーバ上で運用したりもした。VCの人としてどうやって貢献したらいいのかまだわからず、手探りで、まずは自分のできることを全力でやってみることにした。
 
 

新大宗ビル3号館

BASEとの初MTGの数日後、「部室の住人」達は渋谷へ旅立っていった。六本木のEVシェアオフィスを卒業し、渋谷道玄坂に独立オフィスを構えた。新大宗ビル3号館の5階。現在はEVとSkyland Venturesが共同で運営するシェアオフィス『Hive Shibuya』になっている、この80坪ほどのスペースが新たな「部室」となった。もっとも移転当時は広すぎたために、一部をEVが借りて、そこを『EV渋谷オフィス』として投資先に貸し出した。トランスリミットdelyBitStar(当時はBizcast)などが入居した。
 
渋谷に来てもBASEのみんなは騒がしかった笑。部室が大きくなっただけだった。BGMの音量は大きいし、ビックボは金城さんに絡むし、いつも何か食べてるし…。「こんなに騒がしい会社は見たことないよ」と周囲に話してた記憶がある。
 
「まだシェアオフィス部分もあるんだから、もうちょっと静かにして欲しいなぁ」と思ったりもしたことあったけど、今思うとあれくらい賑やかな方が部屋全体に活気が出て良かったのかなとも思う。それに「自分たちも早くシェアオフィス出て、BASEみたいになるぞ」って気合いも入るかもしれない。切磋琢磨感が無いシェアオフィスはやはりダメだと思うし。

こっちは開発がなかなか進まず、リリース予定の4月も過ぎて…。結構つらい時期でした。それにBASEさんとの空気の差がすごくて(笑)。BASEさんはもうすでにプロダクトもあって、それが伸びてて、人も増えて…。delyとの差を痛感してました。(略)それでとにかく独立オフィスに行きたくて、サービスリリース後の8月に桜丘(渋谷)のオフィスに移転しました。

前にdely大竹さんにインタビューした時に、こう言っていたが、こういう気概がスタートアップには必要だ。delyは今や誰もが知るスタートアップに成長した。BitStarの渡邉さんも「BASEの存在が刺激になった」と前に言っていた。BitStarも大型資金調達などをして、成長中だ。
 
 

 
そんなわけで、週に一度のマーケMTGに参加するだけでなく、ちょくちょく渋谷オフィスに立ち寄るようになり、BASEの人たちと交流を深めていった。4月の僕の誕生日にはBASEの皆さんからお祝いをしてもらったりもした。
 
 
 
【ピッチサイドから見たBASEの5年半】
Vol.1 家入さん達がまた何か始めた
vol.2 罫線も数字も無い棒グラフ
vol.3 金髪監査役
vol.4 賽は投げられた
vol.5 ちゃんこと神宮司
vol.6 歪みと混沌の闇
vol.7 創業の地への凱旋
vol.8 上場、そして物語は第2章へ

2019/11/07 

ピッチサイドから見たBASEの5年半 vol.2 ~罫線も数字も無い棒グラフ